コーヒー発見のエピソード

コーヒーの歴史はエチオピアとアラビア半島に野生していた珈琲の木が発祥とされ、二つの由来があります。

☆羊飼いカルジの話(生食の起源)

エチオピアの羊飼いが、野生の珈琲の実を食べて踊っている羊を見て、
自分も食べたところ、非常に興奮を覚えたということです。

☆回教僧オルマの話(ロースト・抽出の起源)

1258年、モカからイエメンの山中に追放された回教僧オルマが、空腹を
癒すために そばに落ちていた珈琲の実を焼き煮出して飲んだところ、
急に元気が出てきたという話です。

コーヒーの伝来

☆コーヒーの一般公開(1457年)

閉鎖的な回教徒の寺院で秘薬として僧侶の間でしか飲まれていなかった
コーヒーが、初めてアデインの僧院で 一般民衆に公開されました。
民衆はコーヒーの虜となり、急速に周辺の諸国に広がっていきました。

☆コーヒーのヨーロッパ上陸

煮出してうわずみだけを飲む、トルコスタイルのコーヒーが、イスラム
商人の手によって 1625年にスパイスと一緒にイタリアのベネチアに
伝えられました。当時のコーヒーは殆どがポットに珈琲の粉と水・砂糖を
入れて煮出してからカップに注ぎ、珈琲の粉が底に沈んでからうわずみ
だけを飲むトルコスタイルでした。
そのコーヒーの味は非常に苦く、男性の飲み物とされ、女性はもっぱら
チョコレートを愛飲していました。

18世紀の後半にフランス人ドンマルティンがネルドリップポットを発明、コーヒーを
濾過して飲むという現代のスタイルが始まりました。

珈琲栽培の始まり

航路を制したポルトガル人、スペイン人、オランダ人の植民地化活動と共にコーヒーは世界に広がりました。

☆1660年・・

フランス植物園よりインドマイソールへ最初に伝来し、栽培が初めて成功
しました。
その後、1700年ジャワでオランダ人が栽培を始めました。

☆1720年・・

フランス植物園より 1720年・1723年マルティニク島へ伝来し、
アンティル諸島の全域(ドミニカ・ハイチ)へと、その後中米諸国への
伝来となりました。

☆1727年・・

フランス領ギアナより、ブラジル、パラ州/アマゾネス州/マラニャン州へと
初めて伝来しました。
しかし、大きな生産はなく、その後南部の地域での栽培となりました。

☆1729年・・

ブラジルでポルトガル人が本格的に栽培を始めました。

☆1730年〜・・

イギリスによりジャマイカを始め1748年キューバ、1750年グァテマラ、
1755年プエルトリコ、1779年コスタリカ、1825年ハワイ諸島に伝わり
ました。


コーヒーの植物的分類

珈琲はアカネ科に属する常緑潅木で、興奮・強心・利尿作用のあるアルカロイド(カフェイン)植物群です。
珈琲の栽培は南北両回帰線の間のいわゆる珈琲ベルト地帯で行われています。栽培には、平均気温が
20℃前後、年間雨量は1500mm〜1600mmで 有機栽培に富む肥沃な火山性土壌が適しています。

珈琲の種類

コーヒー属には約40種類ありますが、その中で飲用になり商品価値があるもの
は、アラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種の3種類が主です。

☆アラビカ種

エチオピア・アラビア半島で繁茂していた野生のコーヒーの木が起源となっており、アラビカの語源はこの
アラビア半島に由来しています。

◎特徴・・全世界の生産量の70%を占めており、高品質ですが霜害や病虫害に
弱く、最近では抵抗力を強めるために品種改良の研究が進められています。

◎栽培条件・・500m〜1500mの傾斜地が適し、低緯度地帯ではシャドーツリー
が必要です。

☆ロブスター種

コンゴで野生しているのを ベルギー人エミール・ローレンによって発見されました。(1895年)

◎特徴・・病虫害に強く多産ではありますが、品質は一般的に中級以下で
インスタント用などに多く利用されています。

◎栽培条件・・600m以下の傾斜地が適しています。

珈琲の精製法

珈琲の果実(チェリー)から、果肉、内果皮(パーチメント)・銀皮(シルバースキン)
を除去して種子を取り出し「珈琲豆」に仕上げる行程を「精製」と呼びますが、
この精製には非水洗式(アンウォッシュドコーヒー/ナチュラルコーヒー)と水洗式
(ウォッシュドコーヒー/ウェットメゾットコーヒー)の2種類があります。

☆非水洗式採用生産国・・

ブラジル・エチオピア・ボリビア・ロブスター

◎プロセス・・乾燥⇒収穫したチェリーをテレイロスと呼ばれる大きなコンクリート製の乾燥場に広げ1週間〜2週間天日乾燥させます。近年はボイラーによる強制乾燥との併用が一般的になりました。⇒チェリーの水分が完全に抜けるまで乾燥したら脱穀機にかけて果肉とパーチメント・シルバースキンを取り除きます。

◎特性・・プロセスが行き届けば円熟した良質のコーヒーとなります。作業が単純で管理もしやすく低コストで済みます。不完全豆や不純物の混入率が高く、又 品質の出来・出来高が天候次第なのが問題となるといえるでしょう。(格付け・級付けに関して、天候の安定しているブラジルが世界一進んでいる理由の一つです。)

☆水洗式採用生産国・・

ブラジル以外の中米諸国・アラビカを生産しているアフリカ諸国等

◎プロセス・・選別・チェリーを水の入ったタンクに入れ浮き上がった未熟豆を取り除き、そのまま水流にしたがってチェリーを流していきます。水流と共にパルパー(果肉除去機)に通して果肉を取り除きます。そのまま発酵層に入れ24時間かけて残った果肉を発酵させ、パーチメントに付着しているゼラチン質を溶かします。水槽に入れて水洗いします。⇒乾燥・ドライヤーまたは 天日乾燥させます。⇒脱穀・脱穀機にかけてパーチメント・シルバースキンを除去します。

◎特性・・発酵行程・乾燥行程に問題がなければ、品質・外観共に優れたコーヒー豆になります。豊富な水と大規模な設備が必要なことと 行程が複雑で管理が必要なのが問題です。

☆水洗式生豆と乾燥式生豆の特徴

◎水洗式生豆・・代表的な生産国としてはコロンビア・ペルー(乾燥式もあります)・メキシコ・グァテマラ・ホンジュラス・ジャマイカ・キューバ・ハワイコナ・ケニア・タンザニア等です。赤く完熟した実だけを手づみで採り、水洗時に未熟豆は浮くので除去し、脱穀・選別の家庭で不良豆をとるので欠点豆の混入が殆どありません。精製された生豆は緑がかった綺麗なコーヒーです。

特徴・・味は強い酸味があり、その国々の栽培条件・気候風土の違い・化学肥料を使っているか、有機肥料のみか併用しているか等で強い酸味・柔らかい酸味・甘い酸味などに微妙に味の違いが出てきます。土臭さ・汚れ味など 味を阻害するようなことは水洗精製の為に基本的には起こりません。

◎乾燥式生豆・・代表的な生産国はブラジル・インドネシア・エチオピア・アイボリーコースト・マダガスカル等です。樹木で外皮・果肉がある程度乾燥し黒ずんだ実となったところで棒で叩き落したり、手で抜き採るか又は、地面に落ちた実を拾い集めるなど国々によってその収穫法は様々です。ブラジルでは乾季に一度に収穫する為 その中に未熟豆・黒豆・虫食い豆などの不良豆が混入している場合もあり、脱穀・選別の精製過程で不良豆除去に比重選別機や電子選別機を使い精製し、さらに手作業(ハンドピック)による選別作業でグレードの高い良いコーヒーに仕上げています。

ブラジルに代表される乾燥式生豆の味は中性でソフトな甘味を持つコーヒーが最高とされています。乾燥式精製は乾燥機関が長く、水洗式のように水槽につけて発酵させることもないので酸味もなく穏やかな風味が特徴です。エチオピアも一部水洗式精製を採用していますが、乾燥式が主で乾燥脱穀し手作業で選別精製しています。未熟豆・欠け豆の混入が多いのですが独特な風味で特徴を出しています。

ニュークロップとパーストクロップ・オールドクロップ

☆ニュークロップ・・その年に収穫された生豆・水分量が一番多く、硬くて濃いグリーン色をしています。

☆パーストクロップ・・収穫されてから1年を経過した生豆で、水分量がやや少なく薄いグリーン色をしています。

☆オールドクロップ・・収穫されてから2年以上経った生豆で水分量は少なく、黄色味がかった色をしています。

◎比較・・・

ニューグロップ・・・香りや味わいが強く感じられます。
パーストクロップ・・ニュークロップに比べるとやや少なめです。
オールドクロップ・・味・香り共に柔らかく、ソフトです